宮澤賢治の見たであろう風景を追って、山や川を訪ねる。
賢治の頃はどうだったのか知らないが、行く先々で「クマ注意」の看板に出くわす。
一人旅の場合、これはなかなか厳しいものがある。
風景に浸りたいが、別のアンテナが働いてしまう。
葉や木々の擦れる音、もちろん鳥やカエルや虫たちは鳴いている。
茂みの中に何か潜んでいて、こちらの様子を窺っているのではないかと。
私はそういったものに対しての知識はないので、そこまでのことだが、賢治は森のことをもっと詳しく知っていたに違いない。
童話や心象風景で語られる描写は、詳細で豊かな感性に彩られている。
彼は、森の中を歩きながら、そこに潜む様々なものと会話していたのだろう。